日本の人事部サイト内の「となりの人事部」において、トヨタファイナンス様のインタビュー記事が掲載されました。
多くの企業が「組織の高齢化」という問題に直面するなか、この問題に"本気で"取り組み、着実に成果をあげているトヨタファイナンス様では、「人を大切にする」を組織運営の根幹に据えておられます。
真に問題を解決していくためには、組織体制や風土を変えていく、すなわち、組織の価値観を変えていく必要があると考えている同社では、中高年社員に向けてのアプローチはもちろん、経営層と部長層も含めたマネジメント層全体を巻き込んで、この「中高年社員の活躍」促進に取り組んでいます。
組織のあるべき姿の実現に向け、人事部門が取り組んでいることを通じて、変化の過程と、そのポイントをお話し頂きました。
第49回 トヨタファイナンス株式会社 人はいくつになっても成長できる―トヨタファイナンスが取り組む"本気"のシニア活躍とは
本インタビュー内容のプログラムにご興味がおありの方は、シニア層パワーアッププロジェクトへ
第3回
仏教の最も古い経典に「スッタニパータ」があります。
著名な仏教学者中村元先生は、「スッタニパータ」を、
仏教の開祖仏陀の「生き生きとした姿に最も近く迫りうる書」と言います。
この中にある動物が沢山出てきます。
何だと思いますか?
その動物とは、蛇です。
第一章は「蛇の章」で蛇のオンパレードです。
なぜ蛇かと言うと、"脱皮"の象徴として出てきます。
組織開発も仏教も変わることを取り扱うという重要な一致点があります。
それでは、どうしたら変わることができるのでしょうか?
仏教ではどのように捉えているのでしょうか?
仏陀とは「目覚めた人」の意です。
何に目覚めるかというと、自分と言うことです。
自分に目覚めることが、大きな変化、"脱皮"へとつながると考えます。
組織開発の文脈からすると、自分と自分たちに向き合うことです。
例えば、環境への献身的な貢献でも有名なアウトドアメーカーのパタゴニア創業者、
イヴォン・シュイナードは、かつて会社が危機に瀕したときに
「なぜビジネスに携わっているのか、パタゴニアをどんな会社にしたかったのか」
とメンバーたちと自問したそうです。
4月、新しい仲間が入ってくる組織も多いことと思います。
新しい人やその見方に触れることは、自分と自分たちに向き合い、
自分の偏りや囚われに気づくチャンスとなります。
脱皮の機会となるいい季節ですね。
是非、積極的に新たな人たちと対話してみてはいかがでしょうか。
貫くことと手放すこと、その両方が見えたとき自分たちらしい脱皮が始まると思います。
6.今、現に、動かすもの
『理由ですか?・・・・』
数年前のこと。
今、流行のリバース・メンタリングではないが、
ある若者からとても大切な事を教わった。
それは、通っていたスポーツクラブでのこと。
「お笑い」を目指しながら、修行と貯金を兼ねて働いているという新人トレイナーさん。
まだ、現場に出て二週間足らずというのに、落ち着いた働きぶり。
何より真摯なスタンスが、動きや言葉のはしばしに現れている。
トレーニング後、感銘を受けたので訊いてみた。
「どうしてお笑いを目指そうと思ったのですか?」
すると、ムッとしたまま押し黙ってしまった。
けれど、彼の横顔は語っていた。
「やりたいことに理由なんてあるのですか?必要なんですか?」と。
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いつからだろう?
われわれは、明確な理由を求められるようになった。
「なぜ?」、「その理由は?」、「その目的は?」、「なぜを5回考えて?」、etc....
そして、それに対して尤(もっと)もらしい答えを述べることが「賢い」とされ、その答えが経済的、合理的にメイクセンスすればするほど「頭がイイ」とされた。
けれど、21世紀も、それでいいのでしょうか?
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近代社会の産業化(Industrialization)の過程で、因果律的世界観が広がっていった。
物事にはすべて原因と結果があり、人間の行為や判断もすべてその構図(Cause)の中で処理できるもの、しなくてはいけないもの、という人間観が助長されていった。
そうしないと、産業化を進めるための人間の組織化が進まないから?大規模生産システムの中に組み込めないから?
21世紀、未来はますます不確実性が高まる。
その中で、旧来型の人間観、世界観に基づく組織づくりでよいのでしょうか?
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振り返って見てください、
本気で夢中になった時のことを。
子供時代、日が暮れるまで友達と遊んでいた時のことを、或いは、
青春時代、時が経つのがあっという間だった日のことを、或いは、
新人時代、チームで遅くまで議論し、翌朝のプレゼン資料を作っていた時のことを。
理由(Reason)なんて考えたこと、ありましたか?
やるための根拠(Rationale)なんて、考えていましたか?
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でも、もしかしたら、グローバルの時代、「理由」を訊かれるかもしれない。「理由」や「根拠」の説明を求められるかもしれない。
「なぜそうするのですか?」
「目標は何ですか?」
「何を達成しようとしているのですか?」
その時に大事なことは、何でしょうか?
「頭」で答えること?
「心」で答えること?
「頭」を使えば、プライドや固定観念(思い込み・偏見)に左右される?
「心」を使えば、心の壁に邪魔される?
ならば、「何」で応えるのか?
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ある時、気づいた。
人生には3つの笑顔(Smile)があることを。
楽しい時の笑顔、
面白い時の笑顔、そして、
無意識で出る笑顔。
中でも「無意識で出る笑顔」がイチバン。
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21世紀のルネサンスにとって大事なことは、「無意識で出る笑顔」を世界中の人々に届け、共有していくこと。
だとしたら、そのための働き方や人間同士の関係性、リーダーシップのあり方なんかを考え直さなくてはいけない。その奥にある労働観や組織観、世界観や人間観までも問い直さなくていけない。直感的かつ論理的に:)。
それを可能にするのは、旧来の20世紀型オールド・パラダイムに冒されていない若者たち。ニッポンだけではない、世界中にそうした若者たちがいる。いや、誰もがその可能性を秘めている。
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だから、問いかけて欲しい、
「今、現に、あなたを動かしているものは何か?」を。
「あなたを無意識の笑顔にさせるものは何か?」を。
人は、生きる理由(It maybe the reason I survive)を見つけた時に、はじめて気づくのかもしれない。
「言葉にならない理由」(It's there)こそが、世界の扉を開ける「魔法のおまじない」(It's the magic word)であったことを
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現代は、自分に対して素直であることが、とても難しい時代。
そもそも「素の自分」なんていないのかもと思うくらい、忙しい(Busy)。
人は、どうすれば、「素の自分」とつながれるのだろ?
なぜ、に対する問題解決力をつけること?
論理的で、分析的な思考を学ぶこと?
それとも・・・