内省と対話
組織の一体感が希薄である、コミュニケーションが難しくなった、セルフコントロールできない人が増えている等と、仕事を進めるうえで困難な状況が増えてきています。
こういった現状を変えていくには、一人ひとりがまず自分を知り、他人を知ることが出発点となります。
特に組織をリードするマネジャーにとっては不可欠なことで、自分を見つめること、すなわち内省の習慣が大切です。しかし、ただ自分を見つめるというのは容易ではなく、自分の行動という事実をベースに振り返ることが有効です。
内省する時に重要なのは、次の2点です。
- 1. 事実と感情を峻別して振り返る
- 人の記憶は五感をベースにした感情とともに埋め込まれているので、まずは事実と感情をわけることから始めます。客観的事実を取り出すことができれば、なぜその時に自分の中にその感情が沸き起こったのかを振り返り、分析することが可能になります。自分の中にある固定観念に気づく第一歩なのです。
- 2. 過去と現在それぞれの感情を振り返る
- 客観視を始めると、「今思うに・・だった」という気持ちが生まれてくることがあります。今度、同じ状況になったら次はこうしようという、より良い行動への気づきが生まれます。
このプロセスは自分でも行えるのですが、より効果的に行う手段が対話です。
1対1でもよいのですが、自分が振り返った内容を開示することによって多くのフィードバックを得ることが可能になるので、できれば複数の人に投 げかけることが望ましいと言えます。話し手は自分の内省のプロセスを開示し、それに対して聴き手は自分と対比しながら、問い返したりフィードバックを行ったりします。
このサイクルを繰り返していくことによって、自らの経験に学ぶ「経験学習」のサイクルが身についていきます。内省したことを日々の実践の中に活かすことによって、もう一段高いレベルの経験が生まれ、新たな内省が可能になります。
この時、内省がルーチン化することを避けるために、常に定期的に新たな刺激(視点)を外から呼び込んでくるしかけはとても大切で、これが限りない成長の原動力になります。