高橋 克徳2022.04.27
人がつながる組織に変えていくために、どのような取り組みをしたらよいのか迷われる方も多いと思います。
今回から3回にわたり、関係革新、仕事革新、未来革新という3つの革新を起こす具体的な方法を紹介していきます。
最初の取り組みは、人と人とのつながりを再生するための関係革新です。
見えない人をつくらない、抱え込む人をつくらない、お互いに気付き合える関係になることです。
そのために、「お互いを知る」、「相談し合える」、「本音で対話できる」という3つのステップで取り組みを行っていきます。
最初のテーマは、お互いを知るです。
今更と思う方もいるかもしれませんが、自己紹介から始めてみてください。それも本人が知ってほしいことを自然に話せる仕掛けで、自分を紹介し合います。
例えば、「私は……」という言葉から始める自分紹介を20個書き出してみると良いと思います。
昔やっていたこと、最近ハマっていること、自分の性格やこだわり、好きなことや苦手なこと、家族のことなど何でもOK。
今まで言えなかったけど、本当はこんな人だよということを伝えてみてください。
逆に、周囲から見えているその人の自然な振る舞いの中にある良さを互いに伝え合ってみるのも良いでしょう。こんな人に見えているよと伝えてみます。
それが人への関心を取り戻し、互いを理解し合おうという意識を高めていくことにつながっていきます。
次のテーマは、相談し合うです。
小さなことでも、仕事以外のことでも、ちょっとした困りごとを持ち寄って、相談してみようというセッションを行います。
特に部署や仕事が違う人でも、相談し合えるということを体感していきます。
相談される側は聞き手に徹して、以下の四つの質問をしていきます。
「何か困っていることはありますか」「具体的にどんなことが起きていますか」「本当はどうなったらいいと思っていますか」「一番変えたいこと、良くしたいことは何ですか」。
本人が悩んでいることに寄り添いながら、起きている事象と自分の気持の整理をお手伝いしていきます。
その上で、変えたいことが見えてきたら、一緒に知恵を出していきます。「どこから踏み出していったらいいですか」と問いながら、「だったら、こうしてみませんか」とアイデアを一緒に出します。
「こうすべき」ではなく、あくまで相手に寄り添った提案を行っていきます。
ここまで来たら最後のテーマ、本音の対話をしてみるです。
「本当は違和感があった、疑問だと思っていたこと」「本当はこうなったらいいのにと思ったこと」を素直に出し合ってみます。
そこで結論や解決策を出すのではなく、そう感じる背景に何があるのか、根幹にある思いがどこにあるのかをみんなで探っていきます。
すると、互いの思いが重なる部分が見えてきます。その上で、まずはすぐにできそうなことだけ、みんなで知恵を出し合ってみて、踏み出してみましょう。
こんなステップで対話を重ねることで、互いの気持ちに寄り添い、一緒に悩み、一緒に考え、一緒に踏み出す関係に変えていきます。これが関係革新です。
※ 本コラムは、日本商工会議所会報2021年11月号への掲載文を加筆・修正したものです。