重光 直之2025.03.06
シェアリングって、どういう意味でしょう。
一つのものを分割すること? それとも共有すること?
分割と共有って正反対のような気もしますね。
ピザを分割するとかたちも変わって自分のものではなくなるが、車のシェアでは運転するときはすべて自分のもの。マネジメントは、どちらでしょうか。
Shareは、原ゲルマン語の「scearu」に由来しており、もともとは1つのものを切り分ける、分割するという意味だったそうです。それが時を経て、共有するという意味でも使われるようになりました。ピザも車もシェアでよいわけです。
実は、マネジメントシェアリングにも、分割と共有、二つのタイプがあります。
分割タイプ:別名アイランド(離れ小島)型
マネジメントという業務を二つに分割して、それぞれを独立して担当する。切り分けたピザをそれぞれが思い通りに(タバスコをたくさんかけたり、かけなかったり)食べる、そんなイメージです。以前、紹介した日揮の事例では、「事業/部門 運営計画、推進」を部長が、「人財育成・キャリア支援」をCDMが、プロジェクト・配員管理をPCMが、と3つに分けて分業しています。
(詳しくは日本の人事部の記事サイト参照:https://jinjibu.jp/article/detl/tonari/3383/)
目に見えないマネジメントを「何」と「何」に分割するのか、ここが鍵になります。技術系のベンチャー企業を代表例に、技術のトップをCTO(Chief Technology Officer)とVPoE(Vice President of Engineering)に分ける動きがあります。技術そのものに最も造詣の深い人がCTOに、それを使ってものやサービスにしていくエンジニアリングに長けた人がVPoEに就きます。「テクノロジー」と「エンジニアリング」に分割することで、幅広い技術領域のマネジメントを、一人ではできないレベルに引き上げるわけです。
リクルートでは、「ヒト」と「コト」に分割していますが、「業績」はあえて重なりとして残しています。独立した個室を持ちながらも、リビングやキッチンを共有するシェアハウスのイメージで、まとまっていくためには共有部分が重要な役割を果たします。
共有タイプ:別名ツインズ(双子)型
一方、すべてを共有するタイプもあります。欧州で盛んなタイムシェアと絡んだマネジメントのシェアが典型例です。NHKスペシャル(2024年1月4日放送)で紹介されたドイツ・化学メーカーの事例では、週24時間勤務と週32時間勤務の二人の女性マネジャーが研究所のマネジメントを担っています。自分が勤務しない時は、相方にすべてを託すわけで、「マネジメント全体」をまさに共有しています。
それぞれの得意分野を存分に活かすこともしていくでしょうが、分割タイプと違って、この領域について私は知らないということは許されず、全領域について対応できることが求められます。重要な意思決定が異なっては困るので、2人の価値観や相性の良さも重要になってきます。
分割(アイランド型)、共有(ツインズ型)それぞれの特長を表にしてみました。自組織にはどちらのタイプが適しているか、話し合ってみる時の参考にしてください。
次回は、「誰とシェアするの?」について、考えてみましょう。