高橋 克徳2022.04.27
人がつながる組織をつくるには、3つの壁を超えていくことが必要です。
第1の壁は、本音が言えない、対話ができないという壁。
第2の壁は、対話ができても、目の前の仕事は変えられないという意識の壁。
そして最後の壁は、目の前の仕事はどうにかできても、未来へ踏み出す思いや勇気が湧いてこないという壁。
これらの壁を超えていくことを順に、関係革新、仕事革新、未来革新と呼んでいます。
今回は、未来革新の起こし方について紹介します。
仕事革新に向けた対話を重ねていくと、自分たちの仕事の未来に大きな影響を与える要因も見えてきます。
人口減少、高齢化、地方再生、インフラの老朽化など、日本社会の未来は本当に大丈夫なのか。5G、AI、DXなどの新たな技術に、自分たちも対応できるのか。環境問題、自然災害を含むSDGsと、どう向き合えばいいのか。
そんな漠然とした不安を多くの人たち、企業は持っていると思います。
ただ、目の前の仕事を維持することで精一杯で、未来のことにまで考えが及ばない、自分事に引き寄せられないという人、企業も多いと思います。
では、どうしたらよいのでしょうか。
3つのステップで、取り組みを考えてください。
最初に、未来洞察、未来の変化をみんなで切り取り、その意味と影響をみんなで対話するというセッションを実施してみてください。
各人が気になる未来の変化を持ち寄ります。これらの未来の変化が、自分たちの生活や仕事、事業や組織の在り方に与える影響を出し合ってみます。
その上で、今から準備することがないか、一緒に考えてみます。
解決策を出すことが目的ではなく、未来への感度を上げ、身近なものに引き寄せていく力を取り戻すことが目的です。
この対話を繰り返すと、だんだん未来の情報をキャッチする力が上がっていきます。
次に、社会課題起点でビジネスを発想してみます。
既存ビジネス起点で、できること、できないことを考えるのではなく、社会課題起点でこれからの世の中が本当に必要とするものを考えます。
特に、この人たちの問題を解決したい、この人たちの幸せを実現したいという視点で、何かできないかを対話します。
そうした対話を重ねていくと、みんなの目線が高まり、視野が広がり、自分たちが未来に向けて本当にやるべきこと、やりたいことが見えてきます。
そこまで来たら最後に、どうやったら実現できるか、みんなでアイデアを出し合ってみます。
自分たちの技術や力だけでは実現できないものでも、他部署や他組織、外部の力を借りて一緒にやればできることがあります。
どう働きかけるか、どうつながりをつくるか、そうしたことを継続的にできるための仕掛けや仕組みができないかを考えてみてください。
こうしたセッションを通じて、「未来はみんなでつくり出すもの」とういう感覚が広がったとき、組織は力強く未来へ動き出していきます。
※ 本コラムは、日本商工会議所会報2022年1月号への掲載文を加筆・修正したものです。