佐藤 将2019.02.06
19.次世代への讃歌(二)
昨年末、タイガーモブさん(※)の忘年会に参加させて頂いた。
周囲は20代前半から一部10代後半の方々ばかり・・・
受付で「今日は20代のつもりでがんばります!」と言ったものの・・・
(・・・!)
何とか立食の輪に入って、得意の質問(?)で場をやり過ごす。
(・・・ホッ)
っと、「皆さん!今年の振り返りをします!」という声。
「受付で配られたカードで、グループになってください!」
「テーマは、今年一番の自分のチャレンジです!!」
「今年一年、自分が一番挑戦したと思う事を語り合ってください!!!」
(誰と一緒だ?)
(今年一番のチャレンジ??)
なんとグループを組むと・・・
前方は中学三年生の方(男)
その横は高校一年生の方(女)
(・・・・・・)
右隣は大手ベンチャー3年目の20代中盤の方(男)
左隣は20代前半の大学3年生の方(女)
(少し安堵)
「じゃあ、中学生から時計回りで、いきましょう!」
「はい。僕は、夏休み、一人でサンフランシスコに行って来ました!」
「プログラミング・スクールに通って」
「海外の人達と一緒に生活し」
「このスマホアプリを開発しました!」
ドーん!!自分で創った作品を見せてくれる。
一斉に「すごーい」の嵐。賛美x賛美の累乗。
(・・・)
「じゃあ次は高校生ね」
「はい。私は今年、アフリカのルワンダに行って来ました」
「2週間のプログラムで、現地の方々と一緒に・・・」
一斉に「すごーい!」の嵐。はたまた賛美x賛美の累乗。
(・・・・)
次は20代中盤の社会人の方。
(社会人と言うだけでなぜか親近感・・・)
「僕は○○という企業(※Z世代に人気の急拡大中のベンチャー企業)の採用担当で社会人3年目なのですけど・・・」
「今年はじめて一ヶ月の長期休暇をとって」
「大学時代のようにバックパッカーをして」
「世界○か国をまわって来ました!」
「社会人になると、出来なくなる事が多いと思っていましたけど」
「その壁を破りたくて・・・」
一斉に「すごーい!」の嵐。またまた賛美x賛美の累乗。
(・・・・・)
(次は僕の番?)
(えーこのレベルのチャレンジ??)
(そんなレベルの挑戦なんて、自分にあるか???)
(やばい、何だ〜!!!)
(・・・・・・・)
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いつ以来だろう?
こんな高速回転で考えるなんて。
ゼロコンマ数秒で
走馬燈のように記憶を呼び起こす。
自分の内にある残像をダウンロードする。
けれど、何も出てこない・・・
(あー時間が迫ってくる!)
(もはや、仕方がない!!)
昔、何度か採った事のある手段に出る。
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「今年の春、はじめてユニバーサルスタジオに行ったのですけど・・・」
(うおー・・・何を言い出しているのだ!!)
「日本のUSJではなく、ハリウッドの方のです」
「昔、西海岸に何年も住んでいたけれど、行ったことがなくて...」
(そう言わないと、場が持たない、自分が持たない)
「はじめてハリーポッターの乗り物に乗ったのですけど・・・」
「みなさん、乗ったことあります?」
案の定、みな、キョトンとした表情。
(やばい、けど、もう止められない)
「最初ジェットコースターと同じかと思ったのですけど...」
「突然、無重力空間に放り込まれるのです!」
「重力から解放された感覚になるのです!!」
「意図したチャレンジではないけど、突然襲ってくるチャレンジがあって...」
「社会人の自分には、それぐらいしか思い浮かばないです。すいません」
「是非みなさんも乗ってみてください!!!」
一瞬、間が空く。
(すべったか?仕方がない・・・)
っと、「えっ、すごーい!」という反応。
先ほどまでの3割減だけど、それでも嬉しい。
(やっぱり今のミレニアルズはやさしい・・・感涙、感涙)。
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思えば、大人になってから、どれだけの"チャレンジ"をしてきただろう?
本当の"挑戦"を...
もしかしたら、チャレンジのつもりで、「目標管理」に取り組んでいるだけなのかもしれない。
もしかしたら、挑戦のつもりで、「失敗のない賭け」を繰り返しているだけなのかもしれない。
レールの決まったランニングマシーンを走り続けるだけの...
グーカレが運んでくる日常という歯車に流されながら...
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思えば、人生に何度かあった「思考というリミッター」を通さずに動いた瞬間。
その先に何があるか、まったくわからないまま、
無重力空間へジャンプし、身を委ねた瞬間。
無意識が意識を追い越していく。
魂が重力から解放されていく。
実は、イノベーションもケミストリーも、
その瞬間に入り込んだ時に起きる、奇跡のようなものかもしれない。
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それにしても...
なぜ、異世界に跳び込んだ若者たちは、国境を越え、気脈を通じ合えるのだろう?
なぜ、その勇気ゆえに独裁政権に命を狙われ難民となった若者たちは、はじめて出会った瞬間から、通じ合えるのだろう?
なぜ、次世代リーダープログラムの中でダイブした感覚を持つ若者たちが、あの分かち合う感覚を持つのだろう?
もしかしたら、すでに次世代は、宇宙世紀を待たずして、覚醒を始めているのかもしれない...
(続く)