佐藤 将2013.08.26
1.なんか不思議な渋谷クロッシング
『驚いた!この国の中ではすべてが順調にまわっている』
この二月、国際的な経営学者、ミンツバーグ教授(注1)が来日した際の発言です。
来日したのは十数年ぶり、日本企業を褒める際は、いつも70年代前後(約半世紀前)の事例(自動車会社H社がはじめてオートバイで米国進出した時の成功例)まで遡ってしまうという「親日家」の、思わずのコメント。
『なんなんだ、この街のエネルギーは・・』
昔、海外駐在から帰国したばかりの日本人の方々に、「久しぶりの東京の印象は?」とお伺いすると、「内向きですね。テンションが低い。向上心を感じない。通勤電車の人の目が輝いてない」。しかし、今、同じ質問を投げかけると、「街に活気がある。人が思いのほかハッピーそう。以前とは違う不思議なエネルギーに満ちている」。
『TOKYOのような場所を見たことがない』
最近、海外で仕事をすると「日本に来たことがある」「数ヶ月(時に数年)そこで働いていた」という外国人の方々に出会うことが増えた。面白いのは、「日本、どうでした?」とお伺いすると、年代によって答えが違う。50代以上の紳士(ジェントルな方々)になると、たいていお決まり文句、「京都はよかった、日本は皆、親切で、安全。大きなブッダもよかった(恐らく鎌倉大仏)、エトセトラ」。40代前後の人々は、なぜか微妙なミックスドな表情。しかし、それが、20代〜ティーンエイジャーになると、とてもポジティブ、「TOKYOのようなエキサイティングな場所は見たことない。あれや、これや・・(次から次へ日本人の想像を超える視点)」。
なぜだろう?
ビジネスにおいてグローバルを語る時、とかく視点が「がんばれジャパン」調である。
恐らく出発点が、「日本は遅れている」、「早く世界水準(スダンダード)に追い着かなくては」、「日本人はもっと主張しないと」、「日本の若者は内向き、アジアの若者と比べてもハングリーでない」、「海外のMBAが毎年行っている調査では、日本の競争力はこんなにも低くなり・・」。
よく言えば、叱咤激励(しったげきれい)的。悪く言えば、悲観的、自虐的、時に悲愴的ですらある。
それが明治以降のエートス? それとも敗戦世代のペーソス?
いまだグローバルが、20世紀の世界観で語られている。
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最近、外国人観光客に人気の、渋谷クロッシング(ハチ公前交差点)。
多くの日本の若者をはじめ、老若男女、様々な国から来た人々が一斉に渡りはじめ、交錯する瞬間。
多くの価値、文化、そして民族が一瞬にして溶け合う瞬間。
一見、混沌(Chaos)のように見えながら、整然と、それぞれがそれぞれの方向に向かって自然に歩む凝縮された空間。
その先には、もう真っ直ぐな道も、坂の上の雲も見えないけれど、それでも、不確実な未来を受け入れ、この世の生を肯定して歩み続けようとする人生観。
この世には、原発も地震もあり、世界は未だ民族紛争や宗教対立などメイクセンスしないことばかりだれど、それでも、その不条理を受け止め、自分たちの生に意味を持たせていくセンスメイクな生き方。
このオリエント(神秘の地)の東の果て、ゴー・ウエスト(夢の地)の西の果て、日本古来の文化と東西の文明が絡み合うこの交差点で、「なんか、おもしろい」(21世紀のルネッサンス)が生まれつつある
- Something going on -
みなさんも、機会(注2)があれば渡ってみてください。
21世紀の交差点を-
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本シリーズ「ニッポンが世界を元気にする」では、筆者の海外での経験と、新しい感覚を持った世界中の人々の視点を合わせ、日本人自身が気づいていない「ニッポンの大きな可能性(ポテンシャル)」と、その世界観から見えてくる「新しい日本のグローバル化のあり方と人材育成の方向性」を、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
佐藤 将
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(注1)ミンツバーグ教授の提唱する「マネージャーは実践を通じて育成されるべき」というコンセプトを発展させたのが、リフレクション・ラウンド・テーブル(内省と対話を通じた経験学習の深化と革新の場)である。
(注2)9月19日(木)16時〜18時、渋谷インフォスタワーでセミナーがございます。詳細はジェイフィールHPをご確認ください。