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小森谷浩志 連載コラム「東洋思想と組織開発」⑧

小森谷 浩志2016.11.25

第8回

仙厓(1750〜1837)というちょっと変わったお坊さんがいます。
臨済宗の禅僧で、日本最古の禅寺である、博多聖福寺の住職として活動しました。
坐禅の合間に筆墨で絵をよくし、衆庶から慕われた方です。

禅僧の墨画ですので、そこには、禅の境地が描かれているのですが、
何とも愛らしい、ユーモアに満ちた作品で、思わず微笑んでしまいます。

先日まで、出光美術館の開館50周年で、福岡美術館と九州大学文学部からも合わせ、
かなりの作品に触れることができました。
見逃してしまった方は、規模はこぢんまりとしていますが、
現在、文京区の永青文庫でも展示があります。



一際目をひいた作品、2点を紹介したいと思います。
ひとつは、「○△□」という作品。
3つの図形だけを書いた、いたってシンプルなものです。
他の絵と違い、解説の賛文が無く、解釈は見る者に委ねられています。
諸説あって、日本に影響の強い3つの宗教、
仏教、神道、儒教を表現しているというもの、
また、四角の頭が、坐禅(△)することで、丸くなるという、
修行の段階を示したというものもあります。
世界に禅を発信した発端の人、鈴木大拙は、
海外の展覧会において、「宇宙(Universe)」と名付けたことでも有名です。

ふたつ目は「秋月画賛」。
英語名は「Illusion」、幻覚と名付けられていました。
秋の月が描かれているのですが、二重になっています。
思い込みで、無いものが見えてしまっている、
固定観念や先入観を警告しているようです。
見たいように見て、考えたいように考えていては、
過去の再生産、新しいものを生み出すことはできません。
これは、組織開発にもつながる話です。

今回は、仙厓の作品から考えたことをご案内致しました。
今の季節、永青文庫に向かう、江戸川橋公園を抜ける道すがら、
紅葉を楽しむのもいいかも知れません

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